ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~。「Alice in “Wa” nderland」 | ジャイアントフラワー専門アトリエ|PETAL Design
ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~。ジャイアントフラワーアーティスト MEGUによる空間装飾「Alice in “Wa” nderland」が出現!巨大な花々の中に入り込むと自分自身がミニチュアになったかのような不思議な世界を体感いただけます。
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「Alice in “Wa” nderland」ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~

ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~

 

ホテル雅叙園東京では、2025年1月18日(土)から3月9日(日)までの期間限定で、館内に有する東京都指定有形文化財「百段階段」にて、「ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~」を開催しています。

ミニチュア×百段階段 ~文化財に広がるちいさな世界~

現実で見慣れたものが、見慣れないサイズ感で出現することの面白さや、顔を近づけて観察したくなるほどの再現性など、ミニチュアには、時代や国を越えて人々を引き付ける魅力があります。本展では、東京都指定有形文化財「百段階段」の7つの部屋を舞台に、さまざまなジャンルや技術、感性によってつくり出される“ちいさな世界”を展開。ジオラマでつくられた日本の風景、手のひらに収まるほどのご馳走、極小のお雛さまなど、文化財建築の中にもひとつの“ちいさな日本”が広がります。

「Alice in “Wa” nderland」について

本企画展への参加を打診いただいた時、「どうしてジャイアントフラワーのPETAL Designが?」という疑問が沸き上がりました。企画書を拝見させていただき、「頂上の間」までの6部屋に飾られたミニチュアの精巧な世界から、一変して見学者自身が小さくなった感覚になるような巨大な花のフォトスポットが展開出来れば、ということでした。

東京都指定有形文化財「百段階段」での展示、どのようにミニチュアの世界観とリンクさせるか、建物自体が持つ華麗な装飾と共存できるかを考えた結果、体が大きくなったり小さくなったりするルイス・キャロルの物語「不思議の国のアリス」をモチーフに、ここでしか出来ない「和の国のアリス」の世界観を表現しようと決めました。

「不思議の国のアリス」をモチーフに、と、決めたものの、よくよく考えるとアリスの物語を思い出せないことに気づきました。うさぎが出てきて、穴に落ちて、トランプの女王がいて、さて最後はどんな結末だったっけ?ということでアリスに関する本を手あたり次第に集めて読み返しましたが・・・改めて読むとアリスの物語は最後が夢オチで、つまり途中の物語も微妙に訳が分からない感じで進んでいき、理解しようと思っても理解が追い付かない、頭で考える物語ではなく、心で感じる物語なんだということに気づきました。無茶苦茶な世界観が面白さなんですよね。

ということで、アリスの物語でポイントになるいくつかの場面をピックアップし、ジャイアントフラワーを使った「Alice in “Wa” nderland」の物語は展開されていきます。設定資料と共に実際の展示写真をご覧ください。

永遠に続くかのような百段階段
百段階段だけど99段
アリスを物語に導くウサギ
あなたのいまの姿を映す鏡、異世界への入り口として
時計はナンセンスな世界観の暗示
設定資料/導入部分

実は99段しかない百段階段。諸説あるようですが、「完璧な状態=百」は長く続かないという考え方から、あえてひとつ数字をひいた。さらに良くなる余地を残して99段にしたという説が私は好き。未完成だからこそ完成に向けて時間が流れていく・・・

そんな99段の階段をのぼりきったところに突如ウサギが現れます。この白ウサギは物語の冒頭でアリスを不思議の国へと導く存在であり、懐中時計を持って「大変だ、大変だ! 遅刻しちゃう!」と急いでいる姿が印象的。鏡台はミニチュアのちいさな世界を見てきた自分の現在の大きさを確かめるため、そして異世界へむかう入口としての象徴となっています。

小瓶の代わりの茶器/次の世界へ導く鍵

物語の始まりで、アリスは白ウサギに導かれ、ウサギの穴へと飛び込みます。重力を無視したようにゆっくりと落ちていくこのシーンは、「現実から夢や幻想の世界へ移行する瞬間」を象徴しています。

「頂上の間」の最初の部屋が真っ暗なのは、この「穴に落ちる場面」を表現しています。そして、そこで最初に目にするのが「茶器と鍵」。これは、アリスの世界観を象徴する重要な要素であり、「体の大きさの変化」をもたらす鍵となるアイテムです。

物語では、アリスはウサギの穴を抜けた後、「Drink Me(私を飲んで)」と書かれた小瓶を見つけます。これを飲むことで小さくなり、物語が本格的に始まります。「サイズが変わる=新しい視点を得る」という象徴的な意味を持ちます。また、この小瓶は誰が作ったのかも分からない謎の飲み物。それでもアリスは飲んでしまいます。これは、「未知への好奇心」や「誘惑」の象徴とも言えるでしょう。

巨大なシャクヤク
困惑するほどの巨大さ
設定資料/シャクヤク

一部屋目、ジャイアントフラワーを知らない人にどのように世界観を伝えるべきか考えた結果、最もインパクトのある巨大な花を飾ろうと決めました。PETAL Designの作品でも最大級の大きさを誇る直径3.5mの「シャクヤク」、実は雅叙園の百段階段に上がるための螺鈿のエレベーターのモチーフになっている「牡丹」とはボタン科ボタン属の植物で同じ仲間なのです。

アリスも自分の体が小さくなって困惑したように、この「頂上の間」を訪れた人々に、花の大きさに圧倒され、困惑や驚きを感じてもらえれば大成功です。茶器の隣に置いてあった鍵を使い、次の部屋に移っていきましょう。

誰も目にしたことがない花畑
花の庭園/Flower Garden
天井から迫りくるジャイアントフラワー
ハートの女王は色打掛に
トランプは花札に
mondeさんの作品とコラボ
設定資料/花の庭園と色打掛

二部屋目に入り目に飛び込んでくるのは人の背丈よりも高いジャイアントフラワーの数々。天井から押し寄せる巨大な花々。アリスは不思議の国の森を進んでいくと、色とりどりの花が咲き誇る庭園に到着します。この花畑では、アリスが驚くべきことに、それぞれの個性を持った花たちが話すことができることに気づきます。特に、薔薇、チューリップ、カーネーション、すみれなどが、アリスに対して話しかけてきます。それぞれの花はアリスに対して意地悪だったり、親切だったりと、まるで人間のような性格を持っています。

振り返ると床の間にはハートの女王から着想を得た、鮮やかな色打掛が悠然と佇み、花札から飛び出した菊の花が咲き誇っています。ハートの女王は、物語の中でアリスが直面する不条理な世界を象徴するキャラクターです。アリスは最終的にこのような支配と矛盾に対して自分自身の立場を見つけ、物語を進めていくことになります。

この部屋ではmondeさん(路地裏BOOKSHELF作家)が「不思議の国のアリス」をテーマにした作品も飾られていますので、ぜひこちらもご覧ください。また、青い芋虫(アブソレム)との会話で出てきた「キノコ」も部屋のどこかに配置されていますので探してみてください。

トランプの兵士をモチーフにした花
夢か現実か
そしてアリスは夢から目覚める
設定資料/兵士、目覚め

ハートの女王で最も印象的な裁判のシーンを抜けると、反抗的な態度を取るアリスは女王とその軍勢であるトランプの兵士たちに追いかけられていきます。

百段階段の「頂上の間」には縁側が設えられており、この幅の狭い通路を圧迫感のあるシーンの演出として使えないかと考え、アリスが兵士に追われる様子を赤と黒の直立するジャイアントフラワーで表現しました。花は非現実的に直角に、アリスの顔を凝視するように咲いており、いまにも襲い掛かってくる兵士のように人間と同程度のサイズで制作しています。

さまざまな奇妙で珍妙で摩訶不思議な世界を旅したアリスは、ついにこの世界が非現実の夢の世界であることを理解し、目覚めていきます。最後のシーンではホログラムのような花が咲き誇る、夢とも現実ともつかない花畑を通り過ぎていきます。目が覚める直前の、ふわっと世界が明るくなっていくような感覚を感じて頂ければと思います。

お菓子を食べて元通りに

一部屋目の「Drink Me」から始まった「Alice in “Wa” nderland」の旅も、ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~、らしく、ミニチュアのお菓子を食べて(本当には食べないで!)、体が大きくなって実の世界へと戻っていきます。

ジャイアントフラワーと百段階段のコラボレーショはこのように出来上がっていきました。ミニチュア作品を見た後に、実は自分が最後にミニチュアになっているというこの不条理、世界観の展開を皆様にはお楽しみいただければ幸いです。

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