4月 25日 咲くことは、祈ること。国宝・瑞龍寺で咲いたジャイアントフラワー

国宝・瑞龍寺で花ひらいた、春のジャイアントフラワーインスタレーション
「咲くことは、祈ること。」
春の夕暮れ、空気がやわらかくなっていく時間。富山県高岡市の国宝・瑞龍寺の大茶堂にて、PETAL Designはジャイアントフラワーのインスタレーションを手がけました。
この展示は、「瑞龍寺 春のライトアップと門前市2025」の特別企画として実施されたもの。数百年の歴史を刻む禅寺の静寂に、現代のアートがそっと咲きました。空間の持つ荘厳さと呼吸を合わせるように、花々は色とりどりの祈りをその場に宿します。

瑞龍寺という場に咲かせること
瑞龍寺は江戸時代初期に建立された曹洞宗の禅寺で、仏殿・法堂・山門が一直線に並ぶ美しい伽藍配置で知られています。中でも大茶堂は、天井の高さと余白が生み出す静けさが格別な空間。光と影が静かにめぐり、人の動きさえ穏やかにしてくれるような場所です。
この空間に花を咲かせること。それは単なる装飾ではなく、祈りをかたちにする行為だと、私たちは感じました。
一輪一輪、素材の選定から形の癖づけ、空間との調和まで、すべてに手仕事の時間が宿ります。咲かせるのではなく、咲いてもらう。その感覚を大切に、大茶堂の空気と響き合うような設えを目指しました。

花と空間がそっと呼吸を合わせるとき
初めて大茶堂に立ったとき、そこに流れる時間の質が明らかに違うことに気づきました。音が吸い込まれ、空気がひとつの生き物のように在る場所。
この場にふさわしい咲き方はどんなものか。どこに咲くのが自然なのか。
いつもより少しだけ時間をかけて、空間の声に耳をすませながら構成を考えていきました。柱のあいだ、畳の端、仏前の導線。それらが花を迎え入れてくれるかをたしかめながら、そっと咲かせていきました。
空間と静かに対話するように咲く花。その一輪一輪に、やさしい呼吸と祈りが重なるような時間でした。




花ごとに込めた祈りのかたち
今回展示した花々には、それぞれの願いを込めました。
一重咲きのシャクヤクは、まっすぐで澄んだ祈りの象徴として。
赤い芍薬には、目覚めと情熱、内に宿る強さを込めて。
ダリアは、優美さと広がりを表す花として。
チューリップやクロッカスは、春の息吹と新しいはじまりの兆しとして咲きました。
バラは、言葉ではなく想いを届ける静かな手紙のように。
紅梅は、寒さを超えて芽吹く希望の色として。
それぞれの花が空間の中で異なるリズムを持ち、異なる物語を携えながら、調和の中に咲いていました。
現代アートとしてのジャイアントフラワー
PETAL Designのジャイアントフラワーは、空間に呼応しながら存在する現代アート作品です。
作品がそこに“ある”ことで、空気が少し変わる。視覚的な美しさだけでなく、その場にいる人の心に波紋のように広がっていくような、静かな作用を生み出すこと。
今回の展示でも、瑞龍寺の建築の対称性にあわせて花を配置し、中心には円形のフラワーゾーンを設けました。「循環」「再生」「共鳴」をテーマに構成したこの場は、静かな時間の流れに寄り添う“祈りの庭”となりました。
花をかたちづくる、やさしい素材の力
この花に使用しているのは、ポリエチレンフォームと呼ばれる、軽くしなやかな発泡素材です。
独立気泡構造を持つ化学架橋ポリオレフィン系の素材で、緩衝性・断熱性・耐水性に優れています。ウレタンのようなやわらかさと弾力があり、触れたときの軽やかさも特徴です。
その特性を活かして一枚一枚の花びらに熱を加え、手作業で立体的に成形。自然な曲線と重なりが、花の持つ生命感を生み出します。
マットな質感は光をやわらかく受け止め、空間にそっと溶け込む静けさをもたらします。
本来は断熱材や緩衝材として使われる工業素材に、やさしいかたちを与えることで、日常のなかにアートの温度を届けられたらと願っています。

心に残った景色を、そっと届けてください
展示期間中、たくさんの方がこの花々を写真におさめ、SNSに想いを添えて投稿してくださいました。
「空気がやさしくなったよう」「花の奥に祈りの気配を感じた」
そんな言葉の数々が、私たちの心をそっとあたためてくれました。
撮影はご自由にどうぞ。
もし心に残る景色があったなら、そっと、あなたの言葉で届けていただけたら嬉しく思います。
作品の裏側や日々の制作風景は、@megu_petaldesign.jp にてご覧いただけます。ぜひフォローもお待ちしています。
#petaldesign #瑞龍寺ジャイアントフラワー
おわりに
この空間で花を咲かせることは、建築と、時間と、心と向き合うことでした。
空間の静けさに耳を澄ませ、素材の声に触れながら、手を動かしていく。そこに生まれるささやかな美しさと、静かな歓び。
PETAL Designは、これからも「花を通して祈りを咲かせる」ような、空間と心に寄り添う作品をつくり続けていきます。
またどこかで、あなたと、花のある風景で出会えますように。
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